「大学生協読書マラソン・全国コメント大賞」という企画があるのを知らなかった。興味・関心がなければわからない情報って、ものすごく多い。2016年は読書感想文の記事をいくつか書いたので、偶然知ることができたんだね。
大学生協とわたし
看護学校時代に、大学生協の書籍外売部の学生総代をしていました。医学部附属の看護学校で専門学校だったけれど、大学構内に住んでいたし大学生にみなされていたんだな(笑)みんなが看護学雑誌の購読をしていたので、その注文の取りまとめと毎月の配布。たまに総代の会議や総会に出る程度のお仕事。
外売部の店長さんが面白い人で仲よしだった。ケンメリに乗ってたケンさん。当時19歳のわたしよりも1歳若いお嫁さんがいて赤ちゃんが生まれたばかりでした。ケンさんは30歳過ぎてたと思う?だから、「大学生協」には懐かしい響きがあるのです。
わたしが転職した病院の主任が看護学校の大先輩で、彼女が定年退職した後に、このケンさんと親戚だったということが判明。世の中狭いというか、いろんなところでご縁がつながっているのだなぁと、しみじみ思う(笑)
大学生協読書マラソン・全国コメント大賞
大学に在学中の「4年間で本を100冊読もう」というスローガンを掲げて、全国の大学生協が実施している読書推進運動が「読書マラソン」です。大学生協に置かれている専用のコメントカードに本の感想を書いて投稿すると、カード1枚につきスタンプが1個もらえるサービス。このスタンプは大学生協で使える割引券などと交換できるのでお得。
毎年、全国の大学から寄せられたコメントから優秀なものを選んで表彰されている。それが「全国コメント大賞」。
2015年の応募総数は5439点で、一次選考を通過した213点と、専門書を対象とした「アカデミック賞」候補の35点が審査された。
2016年は事前選考で絞られた200点以上の候補から各審査員が8点前後のコメントを選び、優秀作を絞り込んだ。審査は永江朗氏をはじめ、大学生協職員や現役の大学生ら10人で行われる。
選考のポイント
第12回の選考で重視されたのは「文字量」よりも「熱量」でした。
- 本が好きではない人も思わず手に取ってみたくなる
- 読んだことのある本でも、改めて読んでみたくなる
読んだ人の感動を他の人に伝えるコメントで、読書の輪が広がる未来が拓けて行きます。
出典:読書推進- 第12回 読書マラソンコメント大賞 優秀賞発表 |全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
この金賞の書評では、古典文学に共感する気持ちが伝わってくる点が高く評価されており、特に「書き出しで読者を引き込む言葉選び」も秀逸と評されています。
専用のコメント用紙にイラストを交えて肉筆で書かれています。そういう演出が評価の対象に含まれるのではなさそうです。銀賞では、普通に文字だけですので。
出典:読書推進- 第12回 読書マラソンコメント大賞 優秀賞発表 |全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
書き手が本から受け取った「言葉の力を信じる力」を、読み手も強く信じられる内容に多くの審査員が共感しました。詩の行間を読む感受性の豊かさに「うらやましい」と審査員がつぶやいたそうです。
読書に対する大学生の姿勢
2015年では問題意識を持って読書に取り組む姿勢が伝わってきましたが、2016年はライトノベルから古典まで幅広いジャンルの本が読まれています。読書を「より自由に楽しむ」学生が増えているということでしょうか。
審査員を務める評論家・フリーライターの永江朗氏は、「ライトノベルと古典の二極化傾向がみられるが、これは学生の傾向というよりも現役作家の力不足を反映しているかもしれない」とコメントしています。
また、ライトノベルを単なる娯楽として読み流すのではなく、本質やテーマを探りながら読むという読書へのスタンスの変化を強く感じたそうです。
web上のたくさんの情報と同じような感覚で本を読む。何を読むのかよりも「何のために」「どんな情報」が欲しいのかということが、読書に向かう若者の姿勢なのですね。
北海道は第2の読書王国?
最終選考まで残った作品の中から、上位入賞を除く200点の作品に対して「ナイスランナー賞」が贈られます。このナイスランナー賞を輩出した49校がサイトで公開されています。
それを見ると、北海道の大学が6校もありました。東京都がトップで13校、次いで北海道の6校、京都府と兵庫県が3校、神奈川県・埼玉県・愛知県・大阪府・愛媛県が2校、宮城県、千葉県・長野県・茨城県・静岡県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・大分県が1校です。
大学生協の数は、東京都が39校、北海道が17校、愛知県が13校、大阪府が11校、京都府・兵庫県・福岡県が10校、宮城県が8校、神奈川県・長野県が6校、他は1~4校です。
出典:大学生協のサイト検索|全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)
2015年と2016年の選考・受賞作品を比べてみると「時代」や「世相」も垣間見れるので面白いですよ。
ブック・レビューの極意
ブログでよくみかけるのは、アフィリエイトなどを目的とした書評ですね。次に多いのがハウツー物の参考書。そういうものを必要としている読者には、それで十分なのでしょう。
この読書マラソンコメント大賞を読むと、生きることに真剣で、かつ生きることを愉しんでいる若者の素直な姿にホッとしました。私利私欲で書かれたものとは一線を画す純粋さに心が洗われます。
コミュニケーションのひとつになる書評も、書き手の意識で受ける印象が大きく変わってきます。
- 内容がいかに魅力的に伝わるか
- 読んだ後に自分の行動や思い(考え)がどう変わったか
- 惹きつける言葉を選ぶ
これは、小学生の読書感想文の書き方でも同じでした。まず、自分が「感じたこと」「受け取ったこと」と、その結果どういう「変化」が生じたか。その事実が先になければ書評は成り立ちません。
売り込むために飾り付ける、そんな書評は底が浅く響くものがないでしょう。
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りょうこのつぶやきでした。
では、ごきげんよう。