わたしは、ここ数年ずっと不眠に悩まされてきました。わたしの場合は寝つきが悪く夜中に何度も目が覚めて、一度トイレに起きるとなかなか寝付けない状況でした。
朝は目覚ましが鳴っても一度では起きられず、スヌーズ機能を使っていました。寝る前にベッドではスマホを触らないようにしたり、それなりの努力はしたものの、思うように改善できません。
そんなわたしでしたが、最近は比較的睡眠のリズムが整ってきました。あらためて不眠について勉強した内容をお伝えしたいと思います。
不眠とは?
ひとくちに「不眠」といっても、次のような4つのタイプに分類されます。
- なかなか眠れない「入眠障害」
- 夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」
- かなり早い時間に目が覚めてしまう「早朝覚醒」
- 時間的には寝ているはずなのに寝た気がしない「熟眠障害」
このような睡眠の問題が1ヵ月以上続いて日中に不調をきたし、生活の質が下がった状態になると「不眠症」という病気になってしまいます。
日中の不調にも4つの症状があります。
- だるくて動きたくない「倦怠感」(けんたいかん)
- どうにもやる気が出ない「意欲低下」
- 何をするにも集中できない「集中力低下」
- 食欲がわかかない「食欲低下」
質の良い睡眠が得られなければ、起きて活動する時のパフォーマンスが低下してしまいます。
不眠の原因
では、なぜこのような不眠になってしまうのでしょうか。不眠にはさまざまな原因があります。いくつもの原因が重なって不眠になっている場合があります。
- ストレス
- 心の病気
- からだの病気
- 薬の副作用
- 刺激物
- 生活リズムの乱れ
- 環境の問題
1.ストレス
精神的なストレスは、仕事や人間関係にはつきものです。ストレスをうまく解消できず溜め込んでしまうと、心もからだも悲鳴をあげます。いろいろと思い悩むと、眠れなくなるのは当然です。ストレスや緊張状態は、眠りを妨げます。
2.心の病気
心の病気の多くは、不眠を伴っています。単なる不眠だと思っていたら、うつ病だったということもあります。
「早朝覚醒」と「日内変動」(朝は無気力で夕方にかけて元気が出てくる)の両方がある場合は、早めに精神科などの専門医を受診しましょう。
ストレスや悩み事を抱えた状態も、不眠につながります。
3.からだの病気
高血圧、心臓病、呼吸器疾患(咳・発作)、腎臓病、前立せん肥大(夜間の頻尿)、糖尿病、関節リウマチ(痛み)、アレルギー疾患(かゆみ)、脳出血、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群などが、不眠を惹き起こすことがあります。
不眠そのものの治療よりも、不眠の原因となっている病気や症状を治すことが必要です。まずは、かかりつけの主治医に相談しましょう。
いびきをかく人は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いので、専門医に相談することをおすすめします。
寝ている時の歯ぎしりも、眠りを浅くする原因になります。
4.薬の副作用
病気の治療薬が不眠の原因になっていることがあります。
睡眠に影響する薬は、降圧剤、甲状腺製剤、抗がん剤などです。
抗ヒスタミン薬は、夜は眠れますが日中にも眠気が出ることがあります。
5.刺激物
カフェインやニコチンなどの刺激物は覚醒作用があり、睡眠の妨げになります。カフェインは利尿作用もあるので、トイレ覚醒が増える原因になります。
アルコールは寝酒として眠りに有効なイメージがありますが、逆に眠りを浅くするので逆効果です。
6.生活リズムの乱れ
夜勤の交替勤務や時差などで体内時計のリズムが狂うと、不眠になります。
夜更かしや休日の寝だめなども、生活のリズムが乱れてしまい不眠になる原因になります。
7.環境
寝室の環境は、重要なポイントです。騒音や照明、スマホやテレビなどの刺激、ゲームや動画による脳の興奮、部屋の明るさ、室温、湿度が不眠の原因になることがあります。寝具や寝巻も睡眠に影響するので見直しが必要です。
不眠の対処法
不眠の原因について、ひとつずつ詳しく見て行きましょう。
1.ストレス解消とリラックス
ストレスは、自覚できれば解消できるのですが、自分自身が気づいていないことがあります。いつのまにかストレスがたまってしまい、気づいた時は様々な不調が起きてしまうことも。
日頃から、ストレスをうまく解消する習慣をつけましょう。
ストレスの原因があって、それに対する心とからだの反応が不調として現れます。この不調に気づくことが最初のステップ。いつもの自分と違う、落ち込む、気分が沈む、何もしたくない、イライラするなど、心当たりはありませんか?肩こりや眼精疲労、腰痛なども、ストレスによる不調の場合があります。もちろん不眠は、ストレス症状のひとつです。
自覚症状に気づいたら、その原因を考えて取り除きましょう。
2.心の病気の治療
不調の域を超えた病気がある場合は、心療内科や精神科などの専門医の治療が必要です。ためらわず受診することをお勧めします。薬の治療だけでなく、カウンセリングや行動療法なども受けられます。
自分の気持ちを話してわかってもらうだけでも、心が楽になります。
3.からだの病気の治療
不眠に影響する病気があった場合は、それぞれの専門医を受診して治療しましょう。
気づいていない病気があって、知らないうちに進行していることもあります。年に1回は健康診断を受けたいものです。
高血圧、心臓病、呼吸器疾患(咳・発作)、腎臓病、前立せん肥大(夜間の頻尿)、糖尿病、関節リウマチ(痛み)、アレルギー疾患(かゆみ)、脳出血、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群など、すでに治療中であれば、主治医に不眠の相談をしましょう。
4.副作用のある薬の相談
薬の副作用が疑われるときには、主治医に相談します。副作用を抑える薬を追加するか、変更が可能であれば不眠に影響しない薬にかえてもらえます。
睡眠に影響する薬は、降圧剤、甲状腺製剤、抗がん剤などがあるので、服用中の方は主治医に相談しましょう。
5.刺激物を摂らない
代表的な刺激物は、カフェイン、ニコチン、アルコールです。夕方以降のコーヒーやお茶、コーラなどカフェインを含む飲料は控えましょう。タバコはやめることを強くお勧めします。ニコチン依存症(中毒)なので、禁煙外来で治療ができます。寝る前のお酒も、できれば控えた方が安眠できるようになります。お酒を飲む場合は、夕食の時までにしましょう。
6.生活のリズムを整える
不眠の解消でもっとも重要なポイントが、生活のリズムです。
- 起きる時間を一定にする(休日の朝寝は1~2時間にとどめる)
- 無理のない適度な運動を習慣にする(運動がストレス解消にもつながる)
- 夕食は寝る2時間前にまでに済ませて夜食は食べない
- 昼寝は20~30分以内の短時間にする(寝る9時間前までに)
- 朝食をしっかり食べる(からだと脳の覚醒を促す)
- 日中に十分な日光を浴びる(午前中の日光と夕焼けは睡眠に効果的)
7.睡眠環境を整える
⓵光・照明
朝は、なるべく朝日が差し込む状態がスムーズな目覚めを促します。遮光カーテンを使用している場合は、カーテンを半分くらい開けておきましょう。朝に自動でカーテンを開ける器具もあります。
夜は寝る2~3時間前は少し薄暗いムーディーな照明や間接照明がおすすめです。TVやパソコン、テレビなどの刺激も眠りを妨げるので、画面の照度を下げるだけでなくほどほどにするのが賢明です。
②静かな環境とリラックス
外の騒音や寝室以外の場所で大きな音がすると、気になって眠れなくなります。できるだけ静かな環境を整えましょう。
また、静かすぎると逆に眠れなくなることがありませんか?
そのような時は、ラジオや音楽を低いボリュームで流すとよいでしょう。できれば、タイマーで自動的に止まるように設定してくださいね。
α波や1/fの音楽やヒーリングミュージックも、ぜひお試しください。
「足湯」は、副交感神経を優位にしてスムーズな入眠を促す効果があります。
③香り
ルームフレグランスやアロマオイルなど、眠りを誘うタイプの香りやリラックスできる好みの香りが有効です。
火を使わないアロマストーンは、ベッドサイドにおすすめ。珪藻土のストーンは、吸収力がよいので香りが長続きします。
アロマオイルは、ラベンダーとオレンジのミックスが眠れる処方の基本とされています。
わたしは、無印良品の「おやすみブレンド」を愛用しています。30ml入りでコスパも最高。ぜひ、お気に入りの香りをみつけてくださいね。
④室温・湿度
あなたは裸で寝る派ですか?夏に裸で寝る場合は、エアコンの設定温度はドライ(除湿)モードで29℃が適温です。湿度は50%前後がちょうどいいので、ドライモードがおすすめです。
夏に普通に寝巻を着て掛け物を使う場合は26℃が適温で、湿度は50%前後にしましょう。日中、寝室内が暑くなっている場合は、寝る1時間前からエアコンで調節しておきます。
朝方に気温が下がる場合は、寝る前1時間から3時間くらいのタイマーを設定して、夜中にエアコンが止まるようにしましょう。
冬は、室温が低めの方が安眠できます。寝巻を着て普通に布団を掛ける場合は、室温が高過ぎると体温が下がらず、不眠の原因になります。
16~19℃くらいが適温で、湿度は50%前後にしましょう。暖房で乾燥する場合は、加湿器も必要です。アロマミストを利用してもよいですね。
電気毛布を使う場合は、必ずOFFタイマーをセットしてください。一晩中電気毛布を使っていると、体温が上がり過ぎからだの水分も奪われるので危険です。
⓹寝具・寝巻
寝巻や寝具のカバーは、吸湿性の高いものを使用しましょう。化学繊維などで吸湿性の悪いものは、汗が蒸発しにくくからだの深部体温を下げられなくなります。
夏は冷感素材、冬は温感素材をうまく使いましょう。
枕は、からだに合った高さと固さを選びます。横向き寝、あお向け寝、うつ伏せ寝で形が異なります。素材も、低反発、高反発、パイプ、ウレタンなど様々です。
高さは、バスタオルなどをたたんで調節し、寝心地のよい高さを見つけましょう。高価な枕をいきなり買わない方が無難です。
布団やマットレスは、固めのものがおすすめです。
睡眠時間の長さにこだわらない
「毎晩〇時間は眠らなければならない」という睡眠に対するこだわりや思い込み、「今夜も眠れなかったらどうしよう」という不眠への恐怖心は、不眠を長期化させ悪循環を招きます。基本的に睡眠時間の長さはあまり重要ではありません。
日本人の平均睡眠時間は7時間ほどですが、年々短くなる傾向が続いています。たった3時間の睡眠でも十分な人がいます。10時間眠らなければ満足できない人もいるでしょう。
健康な人でも、年齢とともに「中途覚醒」や「早朝覚醒」になるのは自然なことです。
不眠が問題になるのは、日中の不調が続き生活や仕事の質が低下すること。
眠りが浅く不十分だったとしても、日中の生活に支障がなければ大丈夫です。
心配事がある、明日は試験/面接だ、旅行の前日、旅先での宿泊で環境が変わった時など、誰でも一時的な不眠になることは当たり前です。
スムーズな入眠と熟眠の条件
不眠の7つの原因と対処法と同時に、睡眠のメカニズムを理解して条件を整えることが必要です。
睡眠と体温の関係
睡眠は、体温の変化と密接な関係があります。体温は、体内時計と体温を上げたり下げたりする機能によってコントロールされています。
体内時計は、体温調節だけでなく、睡眠と目覚めやさまざまなからだのリズムを作っています。季節の変化(日照時間や気温など)にうまく適応できるよう調節しているのです。
体温の上げ下げは、体内時計のリズムに合わせて自動的に行われています。
からだの深部体温(脳や内臓の温度)が下がると、深い眠りに入ります。
19時くらいに深部体温が最も高くなり、就寝の2時間前から深部体温が下がりはじめます。早朝4時頃に向けて、徐々に体温が上がるリズムです。
手足やからだの表面の血流がよくなって、効率よく熱を放出し体温を下げます。
睡眠中は1晩に200mlの汗をかきますが、汗の気化熱も体温を下げます。
このリズムに合わせることが大切です。
入浴を寝る2時間前に済ませるのも、このためでです。飲食すると消化する内臓に血液が集中するので、深部体温を下げられなくなり睡眠を妨げます。ですから、寝る前2~3時間は食べないことが原則です。
夜に汗をかくほどの激しい運動をすると、なかなか体温が下がりません。夕方くらいの軽い運動が最適です。
睡眠ホルモン:メラトニン
メラトニンは睡眠ホルモンといわれており、眠りに大きく関係しているホルモンです。
このメラトニンの分泌を促すのが、セロトニンという脳内物質(幸せホルモン)です。セロトニンは、夜になると脳の松果体というところでメラトニンに変換されます。
セロトニンの分泌を促すのは、トリプトファンという必須アミノ酸です。トリプトファンは、体内で作ることができないので、食べ物から摂取しなければなりません。
画像引用:Glico
一番大切なことは「眠い」と感じること
「眠い」と感じる睡眠欲求を十分自覚してから横になり、眠ることが重要です。
まだ眠くもないのに横になっても、すぐには眠れませんね。
眠たくなって眠る、それが自然なリズムです。
まとめ
日本人の国民病とまで言われている不眠。さまざまな原因を取り除き、入眠環境を整えることで不眠は解消できます。
「寝室のベッドや布団に横になったら眠れる」という「よい思い込み」で自信をつけることも有効です。そのためには、日中布団でゴロゴロ過ごしたり寝る前に布団やベッドに横になってスマホやゲームなどをしないようにしましょう。
「ベッドや布団に入ったら眠れる」という条件反射を確立できたら最高ですね。
のんびり生活改善している余裕がないあなた、わたしもそうでした。病院に行くほどでもないけれど、なるべく早く不眠を解消したい。そう思った時に試したのがサプリメントでした。
予想以上に即効性があって、驚きました。あんなに悩んでいた日々が嘘のようです。「これを飲んだら眠れる」と信じて自己暗示にかかっていたのでしょうか。もっと早くに試していればと痛感しています。
1ヵ月半ほど続けて、事情がありいったんやめましたが、その後も不眠にはなっていません。
サプリメントと同時に生活習慣も改善したので、快眠体質になれたのだと思っています。
不眠に効果のあるOTC医薬品(処方箋なしで購入できる市販薬)、指定医薬部外品、機能性表示食品についての詳しい記事は、このあと別に書きますので、お待ちくださいね。