2019年8月6日更新
読書感想文を「書けない」「書き方がわからない」という人が世の中にどれほど存在するのでしょうか?「穴埋め式」では通用しない読書感想文。
そこで、入賞作品のどんなポイントが評価されているのかを徹底分析!
すぐに応用できる攻略法を見てみましょう。
そこで、上記の第61回入賞者の作品を読んでみました。
穴埋め式ではなさそうな作品ばかり。
高学年になるにつれて、内容の濃さやレベルがグングン高くなっています。
中学生の最優秀作品は、パッと読んで迂闊(うかつ)にも涙ぐんでしまった(笑)
高校生は、広く世の中にも関連付けており、非の打ちどころがない。
脱帽です。
原稿用紙・作文用紙の書き方、すべて教えます【作文、読書感想文、小学生から就活まで対応】 - コミュニケーションBLOG
- 小学校低学年の最優秀作品はここがスゴイ!
- 読書感想文を書く目的
- 読書感想文の題名(タイトル)の付け方
- 読書感想文に書く内容の決め方 「感想メモ」の活用
- 読書感想文の書き方 「構成」がカギ
- 読書感想文の最終仕上げ
- 読書感想文を書けない理由
- まとめ
- 参考リンク
- コンクール情報
小学校低学年の最優秀作品はここがスゴイ!
この作品は、一目で秀逸であると感じた。
それは、文頭と文末が「」の話し言葉になっている点。話し言葉は、前後に1行空ける決まりのようで、字数が少なくて済む(?)メリットもあるかもしれません。
そして、読んでわかる最大のポイントは、読書感想文の中に家族が2人も登場していること。
最初は主人公と自分の弟を重ね合わせて、うらやましいと思っていた。
そこへ母の登場で、自分では気づかなかった客観的な自分を知り、価値観の変化に驚き喜んでいる。
最後は、主人公がきっと自分にこう言ってくれるだろうという決めセリフで締めくくる。
これは、本人の力だけで書かれたものなのかしら?
家族の指導、教諭の添削を経て生み出された作品?
本、主人公、弟、母、そして自分。物語の世界と現実の生活とが見事に書き分けられています。
しかも、自身の変化に対する感想と意見が明記されている。
課題図書を読んでいませんが、著者の意図するテーマ(主題)と、自分のオリジナル(主観的)な感想(見解・解釈)が書かれている作品だと思います。
おそるべし、小学2年生!
読書感想文全国コンクール公式サイト内閣総理大臣賞 最優秀作品 小学校低学年の部
読書感想文を書く目的
読書感想文は、いったい何のために書くのでしょう?
その歴史を紐解くと、戦後からずっと続いている習慣のようです。
教育的観点からみると、かなり難しい目的が掲げられていますね。
- 「書く能力」を育てる
- 「読む能力」を育てる(著者の意図や作品のテーマを理解する)
- 「感想・意見」をはっきり持てるようになる
- 作品のエピソードや世界観と現実の生活を比較して学びを得る、成長する
- 自分の感動を他者に伝えられるようになる
読み書きの能力に加えて、「考えながら読む」「読んだ後に考えて整理する」といった「思考」のトレーニングの意味合いが大きいようです。
文章(文字)を読んで頭の中で理解する能力と、考える力、わかったことや感じた事を文章にする能力、それらを「伝える表現」ができなければならない。
おとながちょっと考えただけでも、それはかなり難しいのでは?友だち同士の会話の中では夢中で話すことができていても、いざ「書く」となると、まったく手が出ない。それは、当然のことだと思う。
書くことによって思考の世界へと導かれ、著者の言いたいことに想いを馳せるなどというのは、至難の業。
これは、おとなでも無理でしょう(笑)
読書感想文の題名(タイトル)の付け方
残念ながら、読書感想文全国コンクール公式サイトでは、全国でトップ5人の作品しか公開されていません。
その他の入賞者については、読んだ本の名前だけしか紹介されていないのです。
そのトップ5を見てみると、
- 自分にとっての作品の意味
- 一番印象に残った言葉
- 自分が感動したポイント
この3つのどれかに当てはまっています。
単純に本のタイトルを書いてはいけませんね。
ちゃんと「感想」の中心=要約を読書感想文のタイトルに手短に盛り込むようにしましょう。
これは、ブログのタイトルと一緒です。
「読みたくなる」タイトルになっているかどうか。
題名は、感想文を書き上げた後に考えてもいい。その方が、よいタイトルが思いつくかもしれない。
または、読み終わってすぐに、印象に残っていることを先にタイトルにしてしまってもいい。そうすると、「何について書くのか」という目的や書き進める方向性を意識できるというメリットもあります。
読書感想文に書く内容の決め方 「感想メモ」の活用
本を1冊一気に読んでしまってから、一番印象に残っているところにポイントを絞って書くのもいいのですが。
できれば、感動したところを2つくらいは触れておきたいものです。
読みながらメモを取るのは難しいし、読書に集中できないのでオススメしません。
かわりに、付箋を活用しましょう。
かわいい付箋を用意すると、お子さんも楽しんで使ってくれると思います。
感動したり共感したところに付箋を貼っていきます。
慣れないと、付箋を貼るという行為に気を取られてしまい、難しく感じる場合もあります。
付箋は2~5枚程度でじゅうぶんです。
「ココ!」という場面に貼っていきましょう。
ひととおり本を読み終わったら、付箋のついているページを開いて、どの部分が面白かったのか、感心したのかを、ノートや紙にメモしていきます。
そして、どうしてそこが気になったのか、感動したのか、理由を書きましょう。
- 自分にできないことをやってのけるところ
- 自分なら見ないところを見ている
- 驚いたところ
- 疑問に思ったところ
- あきらめないで頑張る力
- 自分や家族との共通点
- 自分との違い
- 主人公に対する自分の気持ち(好き、うらやましい)
- 苦手な事を克服するきっかけ
- 自分を好きになるきっかけ
- 知らなかったことがわかった(新しい知識)
- 身近なことと世の中のつながり
- 嬉しかったところ
- みんなを楽しませる力
- 人をしあわせにできる
どんな本を読むのかによっても感想の感じ方は変わってきますが、素直に感動したところ、自分に当てはめて比べてみたこと、本を読んで自分が影響を受けて変わったところ の3つが重要です。
読書感想文の書き方 「構成」がカギ
読書感想文の字数指定は次のようになっています。
- 小学校低学年:800字以内
- 小学校中学年:1200字以内
- 小学校高学年:1200字以内
- 中学校:2000字以内
- 高等学校:2000字以内
題名、学校名、氏名を除く本文の字数です。指定は「以内」となっていますが、極端に少ないのは対象外でしょう。できるだけ制限字数に近づけることが大事です。
では、「感想メモ」を下記の「構成」の基本パターンに当てはめていきましょう。
- 4部構成①
- 4部構成②
- 4部構成③
【4部構成①自分が主人公バージョン】
- この本を選んだ理由
- 一番感動したところ(なぜ感動したか)
- もし自分が主人公だったらどうするか(自分と主人公の違い)
- 自分はこれからどう行動を変えるのか
これは、シンプルで基本的な構成です。ポイントをひとつに絞って書くので、説得力があります。
【4部構成②あらすじと自分の変化】
- その本との出会い
- 本のあらすじ(簡潔に)
- どこがなぜ面白いと感じたか
- まとめ:その本を読んで学んだことや自分の変化
本のあらすじは、あくまでも簡潔に。やや手抜き感がありますが、書きやすい構成でしょう。
【4部構成③盛り上がりバージョン】
- はじめに:本を読んだキッカケや、読み始めの印象と読後感との違いなど
- 段落1:ドキドキワクワクした場面
- 段落2:もっとも印象に残ったこと
- まとめ:段落1~2に共通する感動と自分の考え、作者が言いたかったことから何を感じた(学んだ)か、そこから自分にどんな変化が起こったか
徐々に場面が高揚していき、最後にまとめる書き方です。
*おまけの裏ワザ*
- 手紙形式で書く
- 登場人物になりきる
- 一番書きたいところから書く
全文を手紙として書く手法は、小説などでも見かけるものです。
主人公や登場人物に宛てた手紙、逆に、主人公や登場人物が自分に宛てて書いてくれた手紙という形式もアリです。
読書感想文全国コンクールの低学年最優秀作品は、セリフ(話し言葉)を冒頭と末尾に配置して印象を強める効果を発揮しています。
登場人物になりきって、本の設定の中で自分はどう行動するか、あるいは現代の自分がどう行動するか、これから先の未来はどうしたいかなど「自分だったら」という空想をふくらませて本との「違い」を浮き彫りにします。
それが、そのまま自分の「学び」であり今後の行動変容の実行宣言にもなるわけです。
最高の感動の場面から書き始めると、いきなりクライマックスなので読者が一気に引き込まれる効果があります。
ちなみに、こんなサイトもありますよ~。
読書感想文|ベネッセ 教育情報サイト|読書感想文に関するお役立ち情報を紹介
読書感想文の最終仕上げ
これには、一般的な文章やブログの書き方と同じで「推敲」(すいこう)が必要です。
目で読むだけでなく音読します。
子ども自身ではできない作業なので、第三者に読んでもらうことになります。
つまり、保護者の手助けが不可欠だということ。
原稿用紙の使い方や誤字脱字などの校正は、学校の先生に任せることもいいでしょう。
ただし、子どもが感じたことを保護者が共有できる文章(内容)になっているかどうか、ちゃんと言いたいことの意味が伝わるかどうかを、おとながきちんとチェックしなければなりません。
直す点があれば、やさしい質問形式で子ども自身の言葉で答えを出させる。
先にうんと褒めてから、「ここは、どうしてそう思ったの?」とか「すごいなぁって感じて、何か変わったことがあった?」など。
読書感想文を書けない理由
- 本を読むのが苦手、面白くない
- 読みたい本がわからない
- 読書感想文の書き方を具体的に習っていない
- 読書感想文を書くために必要な思考ができない
- 読んでも何が書いてあるのか理解できない
- 何を書けばいいのかわからない
- そもそも書くことが苦手、慣れていない
- 一人で作業するには限界がある(保護者の協力が必要)
本を読むという習慣のない子どもに、本を読ませるところから始まるのだから、教えるおとなの力量が問われます。
本を読む楽しさをわかっている子どもなら、考え方と書き方を教えるだけで済みますが。
子どもが、どの地点で困っているのかを、まずおとなが理解しなければなりません。
それができない親なら、わが子に高望みをするのはやめておいた方が無難。
小学3年生以上が対象です↓
書きやすいB4版です↓
まとめ
わたしは小学生の頃から読書感想文や文章の創作は大好きでした。
クジラのなんたらという本の読書感想文を、6歳年下の妹に代筆してあげたことがあります。
校内で入賞して体育館に貼りだされました。しかし妹は、罪悪感にさいなまれたという(笑)
昔は、あらすじのみの感想文が圧倒的に多かったので、きちんと「どこで、何を感じたか」を書けばよかったのです。
それに比べると、今どきの子どもたちは要求されるレベルが高くて可哀そうですね。
- 読書感想文を書く目的
- 読書感想文の題名(タイトル)の付け方
- 読書感想文に書く内容の決め方 「感想メモ」の活用
- 読書感想文の書き方 「構成」がカギ
- 読書感想文の最終仕上げ
- 読書感想文を書けない理由
別に全国レベルのコンクールで入賞を狙う必要はないです。
素直に感動したことを表現すればいいのです。
大事なのは「読んで感動する」ことができるかどうか。
そこが一番のポイント。
そして、その感動にどんな影響を受けて自分が変わったか。それさえあれば、あとはそれなりの形にはめ込んでいけばいい。
一番のコツは「読書感想文なんて、カンタンじゃ~ん♪」と思う事!
変に身構えるから、身動きできなくなる。
読書感想文は、自分を他人に理解してもらうためのコミュニケーションツールです。
なお、全国コンクールに至るまでに地方審査会というものがあります。
夏頃に各都道府県や市町村等で募集した作品の審査が年末に発表されます。
りょうこのつぶやきでした。
では、ごきげんよう。