会話の表現スタイルの特徴をみると、「目的型」と「回避型」があります。
目的型は、前向きで積極的に未来へ進んでいこうとする考え方す。回避型の人は、消極的で保守的であり、批判めいた会話をします。起こりうる問題は回避すべきだという価値観を持っています。
これは、単純に会話というコミュニケーションにおける「表現」のスタイルなので、優劣や善悪はありません。
しかし、「相手は自分と違う」という印象が強く、互いに理解できずに反発・対立してしまうのです。
目的型の表現の特徴
目的型の代表は芸術家や漁師などの職業に多いです。未来にどんなプラスの状況が実現しているのかということをはっきりとイメージしています。
漁師の場合、「今日は、あの大物を狙うぞ」とか「今日は1トンは水揚げしたい」というように目的に前向きに向かって行動します。ところが、回避型の漁師だったら、「魚がいなかったらどうしよう」そんなふうに毎朝真剣に悩んでいたら、漁に出るのも辛いでしょうね。
芸術家も、失敗を恐れずに自分の作品を表現する、多くの人に作品を見てもらうという目的を持って制作するのではないでしょうか。
回避型の表現の特徴
起こりうるリスクに対して慎重に対処するのが回避型の特徴です。万全の対策で事に当たります。石橋を叩いて渡るタイプですね。
医師や教師に多い特徴です。病気の悪化や最悪の事態を避ける、間違ったことを教えてはならないという基本姿勢があります。
表現の違いで話が噛み合わない
会議で目的型の人が事業拡大の提案などをすると、回避型の人がリスクや失敗を想定してなかなかうんと言いません。楽観的でリスクを無視する目的型の人を横暴なわからず屋と感じています。
一方、目的型の人は回避型の人を、いつも後ろ向きの反対意見で話の腰を折るわからず屋だと感じています。これでは、双方ともに歩み寄ることは難しいでしょう。
異なるタイプでのコミュニケーションの取り方
- 自分と相手は表現のタイプが違うということを認識する
- 純粋な「問題・テーマ」に注目する(共通の問題の確認と共有)
- 不測の事態を招かないように注意すべき点を明確にする(回避型の思考に同意して受け取ったサインを送る)
- 何を目指してどこへ向かっていくのかを明確にする(目的型の思考)
まず、先に回避型の不安を解消することで、強い反発を避け賛成してもらえる環境が整います。そうすると、目的型の人の意見やプランがスムーズに受け入れられるでしょう。
表現タイプ別のアプローチの実際
不動産の物件情報に「駅から〇分」という表現があります。これをお客さんの表現タイプに合わせるとどうなるでしょうか?
- 目的型:「この物件は、駅から8分です。とっても近いですよね」
- 回避型:「この物件は、駅から10分もかからないのですよ。けっして遠くはないですよね」
目的型のお客さんには、プラスの面を正確に伝えます。回避型のお客さんには、不安やマイナス要素を打ち消してあげる表現をします。そうすると、すんなり納得して安心してもらえますね。
経過型と結果型の場合
目的型と回避型の他にも、「経過型」と「結果型」という表現のパターンがあります。
経過型は、途中経過を重点的に話します。長々と手順や状況を全部話さないと結果へはたどり着けません。
結果型の人は、経過型の人のこのような長い説明にウンザリしてしまいます。「結局、何が言いたいわけ?結論は何?」とイライラします。
また、結果型の人が結論とポイントだけをズバリと言うと、経過型の人は「情報が少なくて中身が薄い!」とドン引きしてしまいます。
この場合も、対応の仕方は同じです。
- 自分と相手は表現のタイプが違うということを認識する
- 結果や結論を先に言う(結果型の人の不満を先に取り除く)
- 結果に至るプロセスをしっかりと説明する(経過型の人の欲求を満たす)
違うということが前提になる
何となくあの人が苦手、話が噛み合わない、イライラする、というような場合には、おたがいの表現方法が違っているだけのことが多いのです。
「違う」ということがわかれば、相手の不満も自分のイライラも理解できるので、たがいにストレスをなくすコミュニケーションができるようになります。
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りょうこのつぶやきでした。では、ごきげんよう。