糖尿病には2つの種類があるのをご存知ですか?一般的に「生活習慣が大きく影響している」といわれているのは「2型糖尿病」です。その他に、生活習慣や肥満とはまったく関係のない「1型糖尿病」があります。
原因も治療も違う2つの糖尿病。まだ、あまり知られていない「1型糖尿病」について、わかりやすく説明したいと思います。
1型糖尿病の原因
インスリンを分泌する膵臓ランゲルハンス島のβ細胞が、自分の免疫システムの誤作動によって破壊され、インスリンを分泌できない状態になっています。
インスリンが分泌されないので血液中のブドウ糖をうまく処理できず、高血糖になる病気が1型糖尿病です。
小児期に起こることが多いため、小児糖尿病とも呼ばれていました。
ウィルス感染(風邪など)によって自己免疫の働きがおかしくなり、本来は体外から侵入した異物をやっつける働きが、間違って自分の大事なβ細胞を攻撃して炎症を起こし破壊してしまうのです。
風邪を引いた人が大勢1型糖尿病になってしまうわけではないので、ウィルス感染と何らかの体質などが組み合わさって作用したときに免疫異常(自分自身を攻撃してしまう)を引き起こすと考えられています。
いつ発症するのか前兆などはまったくわかっていません。予防もできない状態です。
そのメカニズムは、まだじゅうぶん解明されていません。
- 生活習慣病ではない
- 先天性の病気ではない
- 遺伝で起こることは非常に少ない
- 他人にうつる(感染する)病気ではない
インスリンの働き
出典:インスリンはいつどのように分泌されるのか/-第1回 インスリンとは?/糖尿病特集サイト/メディマグ. 糖尿病
インスリンは、食べ物を消化・吸収して血液に入ったブドウ糖を、肝臓や筋肉組織に取り込んでエネルギーを産生する働きがあります。
ブドウ糖から作られるエネルギーは、脂質やたんぱく質から作られるエネルギーよりも圧倒的に多く、脳はブドウ糖しかエネルギー源として使えないので、インスリンがなくなると元気に生きて行くことができなくなります。
1型糖尿病と2型糖尿病の違い
出典:インスリンはいつどのように分泌されるのか/-第1回 インスリンとは?/糖尿病特集サイト/メディマグ. 糖尿病
インスリンは血糖が低いときにも、わずかですが分泌され続けています。これを「基礎分泌」といいます。
そして、食事を摂った後に一気に大量にインスリンが分泌されることを「追加分泌」といいます。
1型糖尿病では、この両方のインスリンが分泌されないので、インスリン製剤を毎日4~5回注射して補充しなければなりません。
2型糖尿病のように「飲み薬」で治療することはできないし、厳しい食事制限などは基本的に必要ありません。
糖尿病のほとんどが2型糖尿病であり、1型糖尿病の年間発症率は10万人当たりたったの1~2人です。
1型糖尿病の治療―インスリンの補充
1型糖尿病の治療には、絶対的に不足しているインスリンを注射で補充することが不可欠です。そのため「インスリン依存型糖尿病」とも呼ばれています。
(2型糖尿病はインスリン非依存型糖尿病)
- インスリンを補充して生命を維持する(自己注射)
- 血糖値を良好にコントロールする
- 合併症を予防する
- 日常生活の不自由を減らす(QOLの維持・向上)
- 適度な運動と健康的な食生活を併用する
インスリン製剤(注射薬)には、次のような種類があります。
これらのインスリンを組み合わせて、治療を行っていきます。
出典:薬物療法
参考資料:1型糖尿病[IDDM]お役立ちマニュアル Part1
次回は、「強化インスリン療法」「従来法」と「責任インスリン」についてのお話です。
りょうこのつぶやきでした。
では、ごきげんよう。
アイキャッチ画像出典:絵本を贈って、不治の病“1型糖尿病”の子どもたちを助けたい!(大村詠一(認定NPO法人日本IDDM ネットワーク)) - クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)