急に足が腫れて痛みがでた。
大人であれば「痛風」を疑うかもしれない。
子どもの場合は「虫刺され」かな?と思ってしまう。
実はそれ、蜂窩織炎だったら危険です。
正しい診断と治療が必要です。
【蜂窩織炎とは?】
蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは、真皮の下の深いところにある皮下組織で炎症が起こっている状態です。
皮膚の小さな傷や虫刺されの跡から細菌が侵入して化膿する細菌感染です。
傷や虫刺されなどがなくても、毛穴からも感染することがあります。
出典:皮膚の解剖生理と基本的スキンケア:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
<特徴的な症状>
足にできることが多く、次のような特徴があります。
- 赤くなる
- 腫れる
- 熱を持つ(触ると熱い)
- 押すと痛い
- 境界のないなだらかな腫れ
出典:蜂窩織炎
腕や顔などにできた場合は、真皮までの表在性(浅いところまで)の炎症なので「丹毒」といいます。
これは、腫れている部分の境界がはっきりしており、皮膚がゴツゴツした感じになっています。
<原因>
ほとんどが溶連菌か黄色ブドウ球菌による感染症です。
- 発熱
- 寒気
- 関節痛
- 倦怠感(だるさ)
などの、風邪を引いたような全身症状が出ることもあります。
出典:β溶血性レンサ球菌とは: 厚生労働科学研究費補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業) 重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析,その診断・治療に関する研究
【何科を受診すればいい?】
基本的には、医師の診察(視診・触診)と問診で診断することになります。
確定診断につながる決定的な検査等はないのですが、血液検査やレントゲンなどでその他の病気を除外していくことになります。
受診する診療科は皮膚科になりますが、早期に受診するのであれば、外科、整形外科、内科、小児科でもかまいません。
重症化すると、入院や外科的な処置が必要な場合があるので、総合病院の皮膚科が理想的ですが、こだわらずにすぐに行ける病院を受診することが大切です。
【治療】
蜂窩織炎は、原因となる細菌がほぼ決まっているので、抗菌剤がよく効きます。
早期に治療を開始すれば、外来通院と内服で治ります。
抗菌剤の服用期間は炎症の度合いと医師の判断、使う薬剤によって異なります。
一般的には、5~14日間抗菌剤を服用します。
場合によっては、完全に除菌するために1ヵ月以上内服することもあります。
局所の症状がおさまっても、完治するまでは自己判断で中断せずに、医師の指示通り抗菌剤を飲み切りましょう。
全身状態がよくなかったり、治療が遅れて重症化している場合には、入院が必要となってきます。
- 高熱が続く
- 急激に悪化している
- 持病があり感染が重症化しやすい
- 飲み薬だけではなかなか治らない場合
- 症状が重く安静が必要な場合
このような時には、入院して安静を確保し点滴での治療が必要になります。
【家庭でのケア】
- 安静
- 患部を冷やす
- 足を高くする
- 浮腫が強い場合は弾性ストッキングなどを使用する
炎症を悪化させないためには、局所の安静が必要です。
赤く熱感がある間は、冷やしましょう。
入浴も控えて、シャワーなどで様子をみます。
足の場合は、夜寝る時や日中休める時に、心臓よりも患部を高くすると楽になって腫れも引きます。
浮腫の予防と改善には、市販の弾性ストッキングも有効です。
ただし、着脱の際には弱っている皮膚を傷つけないように注意してください。強くこすったりストッキングを引っ張らないようにしましょう。
アルコールの摂取は、炎症を悪化させ痛みが増します。
喫煙は血行を悪くするので、患部へ抗菌剤がゆきわたりにくくなるので、控えた方がよいでしょう。
【痛風と虫刺されとの区別】
<痛風の場合>
痛風は男性に多く発症する高尿酸血症の症状のひとつです。
血液検査で尿酸値が7.0mg/dlを超えていたら、痛風の疑いが強いです。正常値であれば、蜂窩織炎を疑います。
痛風の痛みは、夜中から明け方に痛みが激しくなり、1~2日でピークに達して徐々におさまってきます。
しかし、この痛みは耐えがたい激痛で、風がそよぐだけでも痛いので痛風という名前がつきました。そのため、立って歩けないほどの状態になります。
数日から1週間程度で痛みはおさまりますが、腫れがなかなかひかないのが特徴です。
蜂窩織炎の場合はそれほど強い痛みはではありませんが、痛みが持続します。
痛くても歩いて仕事ができるような状況だったりします。
重症化すれば、全身状態も悪くなります。
抗菌剤で治療しない限り自然に痛みはおさまりません。
<虫刺されの場合>
虫刺されの過敏反応で腫れている場合には、痛みのほかに痒みが強いのが特徴です。
刺された部分に水疱ができてかさぶたになることもあります。
▶蚊に刺された痒みの正しい対処法はたったの3つ!【看護師が徹底解説】
この写真は、ブヨに刺されて腫れている状態です。
【再発と予防】
蜂窩織炎が再発することは、一般的には少ないといわれています。
しかし、実際には1年以内の再発率は8~20%あります。
再発予防には、しっかりと治療を行うことと、皮膚を清潔に保って浮腫を予防し傷を作らないように注意しましょう。
▶蜂窩織炎と似ている病気や、もっと詳しいことについてはこちらです。
【まとめ】
1週間以上続く痛みと腫れがあったら、まずは病院を受診しましょう。
もちろん、もっと早期に受診することをおすすめします。
蜂窩織炎、痛風、虫刺されの腫れは炎症が起きているので、基本的にはすべて冷やすのが正解です。
炎症の急性期に温めてしまうと悪化します。
りょうこのつぶやきでした。
では、ごきげんよう。