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悪徳マルチ商法:ベルギーダイヤモンドの洗脳テクニック体験秘話

 

暗く落ち着いた証明のフロアにショーケースが配置されている店内の写真

まだ看護師になりたての頃、職場の先輩に誘われてベルギーダイヤモンドの会員になった。

札幌支部に連れて行かれ、きらびやかなショーケースの中の宝石を眺め、先輩のために35万円の指輪を買った。

それで彼女への報酬は、いったいいくらだったのだろう。

金とプラチナのコンビ・デザインリングで、気に入っているから後悔はしていない。けれど、市価数万円のものだったに違いない。

信じて夢見た彼女

当時すでに白髪で真っ白だったショートヘアの彼女は独身。札幌駅のそばのマンションで一人暮らしだった。 

10年前に500万円で購入したマンションが、500万円で売れた。そういって、新しいマンションにわたしを招いた。

足が埋まるほどのじゅうたんに、オーダーメイドの牛革のルームシューズ。

真っ白なシルクのガウンでくつろぐ彼女は、幸せそうだった。

豪華さと熱気

札幌支部は、どこかのビルの中だったように思う。

販売システムの説明を受ける。

ものすごく立派なファイルや資料を、たくさん渡された。それだけで、なんだか自分が「ビジネス」で「儲ける」という気分になる。顧客管理や販売記録、勧誘用のパンフレットなどが、豪華なバインダーに収まっている。

ほどなく、中央に人が集まりだした。

新しく会員になった人の「宣誓」が始まる。

希望に胸をふくらませて、キラキラと輝く瞳で、声高らかに宣誓する。1段高いところで衆人の注目を浴び、職員に賞賛されて頬が上気する。

全体にかなり薄暗いフロアは、異様な熱気に包まれる。

もちろん、自分が購入した宝石を身に着けて。

先輩も、あんな風に宣誓したのだろうなぁ。

自己陶酔と洗脳

数日後、わたしの宣誓の順番が回ってきた。

先輩の話は、眉唾だと思って信じていなかったけれど、一応決まりなのでそれなりに宣誓してみた。

職員から紹介され、大きな声で宣誓する。自分の意気込みと決意を語るのだ。そして、いついつまでにどれだけの実績を上げるか目標を具体的に宣言する。

不思議だ。

そうすると、なんだかすでに自分は目標を達成できているような錯覚にとらわれる。完璧に実現できる気になってしまう。

きっと鼻の穴が少し広がって、興奮していただろう。

まわりの目もあたたかい。「頑張って」「早く目標を達成してね」「一緒に幸せになりましょう」そんなオーラがビシビシと刺さってくる。

その日は、目標を達成した結果報告の宣言もあった。

そうか。

わたしも、ああなれるんだ。

誰に言われたわけでもないのに、勝手に自分でそう思い込んでしまう自分がいた。

実際には

そんな風に、どっぷりと雰囲気に浸かってはみたものの、やはりわたしは信じてはいなかった。

こんな風にやるんだな。

どこか冷ややかに、自分を見下ろすもうひとりの自分がいた。

誰も勧誘せず、はかない夢に心躍らせることもなく。

やがて、悪徳マルチ商法が摘発され、豊田商事の系列だったベルギーダイヤモンドも倒産した。

わたしは、結婚のために引っ越して職場を変わっていた。その後、その先輩と会うことはなかった。

特に苦情も言わないし、そっとしておく。

きっと、老後の優雅な生活の夢が崩れて落胆しているだろう。だから、声はかけなかった。

わたしに対する罪悪感は、あったのだろうか。わたしの他にも、彼女から宝石を買った人はいたのかしら?

一緒に声を掛けられた別の先輩ナースは、はなっから相手にせず宝石を買うことはなかった。

現実

ほとんどの会員は、親戚や友人の数人に無理やり宝石を買わせるのが関の山で、販売を拡大できなかったと思う。

しかし、中にはやり手で荒稼ぎしていた人もいる。

みんな詐欺の片棒を担いだ共犯者だ。そして、被害者。

会員たちのほとんどは罰せられることはなかった。

宝石を売ることと、新しい会員を勧誘すること。べらぼうな報酬に、誰もが目がくらむ。

そして、集団催眠のような独特のショールーム。どこかの宗教団体みたいだ(笑)

まず、自分が搾取される。同時に、自分も搾取する側になる。

負の連鎖は止まらない。

  

 

りょうこのつぶやきでした。

では、ごきげんよう。

画像元:【小野時計店 仲小路本店】 PICKUP SHOP|フレデリック・コンスタント

*注:この写真と本文は関係ありません