小学生に限らず、夏休みの宿題によく出されるのが「作文」ですね。
「作文」は「自分が体験した事実の感想」です。
体験したことや感じたことを素直に書けばいいので、実はとっても簡単なのです。
高学年や中学校、高校になるにつれて、「作文」は単なる感想だけではなく「自分の意見・主張」の要素が強くなってきます。
経験したことに加えて、新たに詳しく調べたり研究した題材についての意見を書くようになっていきます。
小学生の「作文」が書けるようになっておくと、これからどんどん「作文」が上達していきます。楽しみですね。
<2018年7月更新>
「作文」って、何を書くの?
むずかしく言うと、話の筋道を通して、自分の考えや意見を書くことです。
出来事の説明(事実の羅列)ではありません。
小学生の「作文」では、自分が経験・体験したことについて感じた気持ちの変化について書くようにしましょう。
自分の気持ちを「わかりやすく相手に伝える文章」が「作文」です。
それには、基本的な仕組みと手順があります。
「作文」を書く手順
1.テーマ(主題)を決める
作文のテーマは「読み手にとってためになるもの」を意識して、自分の体験から選びましょう。
読んでくれる人をできるだけ絞り込むことも大切です。
単に「私の家族」に読んでもらうだけではなく、「私のお父さん」や「友だちのBちゃん」「学校の先生」などのように、具体的な誰かをはっきりさせます。
「おもしろかった」「おどろいた」というようなエピソードでも、最終的な「まとめ」で、世の中が平和になることや、みんなが幸せになることにつながるしめくくりだと最高です。
2.題材(材料:体験したこと)を集める
決めたテーマに関係のある体験を思い出してメモしていきます。
ここでは、テーマに直接関係のないエピソードでも何でもメモしていきます。
記憶に残っている印象的なことや、困ったことなどをできるだけたくさん書いてみましょう。
ノートや紙にメモしてもいいし、付箋に一つずつ書いてもかまいません。
- 自分だけのオリジナリティ(個性)
- 挑戦
- 感動
- 共感
- ユーモア
このメモが、書きたいことのリストになります。
3.書きたいことを選ぶ
書きだしたリストの中から、作文に書きたいものを選びます。
先にテーマを決めずに材料を集めて、書きたいものが決まってからテーマを考えてもOKです。
実際にやってみて、やりやすい方から始めてみましょう。
書くものが決まったら、できるだけ詳しく思い出しましょう。
ここで、5W1Hが重要になってきます。
- わたし(と誰が)
- いつ
- どこで
- 何を
- どうして
- どのように
経験・行動したのかということと、自分の気持ちを正直に書いていきます。
4.構成:材料を並べて文章を組み立てる
一般的には4つの起承転結で文章を構成しますが、
- はじめ
- なか
- おわり
小学生の場合は、このような3つのパーツに分けて考えてみましょう。
<はじめ>
どんなことが書かれているのか、思わず引き込まれるようなインパクトのある書き出しが目標です。
一番強く感じたこととその出来事(エピソード)を簡潔に紹介する文章です。
新聞のリードと同じですね。
- 会話
- 色
- 音
- 情景
などを最初に書くと、読み手を惹きつけることができます。
<なか>
ここには、具体的な体験と思ったことを詳しく書きます。
取り上げるエピソードは1つか2つに絞りましょう。
自分に大きく影響した出来事と、その前後の気持ちの変化を「理由」も添えて書きます。
段落(改行)の目安は、3~4つの文を目安にするとよいでしょう。
- 声
- 顔
- 動作の様子
会話の前後には、その人の表情や動作を書いて説明します。
エピソードは、時系列で書いた方が読み手が混乱しません。
エピソードをひとつに絞ったら、その話の前後を肉付けしていきましょう。
固有名詞や数字を入れると、正確な文章になります。
擬音語や擬態語を使うと、わかりやすい文章になります。
*後述:オノマトペ
<おわり>(まとめ)
考えて学んだこと(結論)をまとめて書きます。
その結果、自分の価値観や行動がどう変わったのか、あるいはこれからどんな風になっていきたいのか「決意表明」をします。
そして、そのことが世の中のどういう変化につながるか、まで言えたらポイントが上がります。
*おわりの具体例*
- ペットや小動物への愛情をみんなが持っていれば、絶滅する動物を守れると思う
- 家族に感謝してきちんとあいさつするように友だちにも接したら、いじめはなくなっていくと思う
- 一人ひとりの小さな節約が、たくさん集まって大きな節約になり、地球を守って行けると思う
- ほんの少しの思いやりで、みんなが助け合って笑顔で暮らせる地域が作れるとわかった
- 家族に励まされて自分が立ち直れたように、自分も誰かを励まし支えられる人になりたい
- 学校の行事に家族が参加してくれたおかげで、応援が力になり頑張って良い結果を出せた。私もみんなを応援して力になりたい
5.下書き
普通の紙やノートでもいいですが、できれば原稿用紙を使って下書きをしてみましょう。
鉛筆で、「書き始め」はこのくらい、「おわり」はこのくらいという目安を囲んでおきます。残りの部分が「なか」になります。
あまり体裁を考えずに、下書きはのびのびと思ったことを正直に書いた方がいいです。
あとから直すので、長くても短くても心配いりません。
6.題名(タイトル)を考える
全体の文章が出来上がったら、最後に「題名」(タイトル)を考えましょう。
一番心に強く残っている言葉でもいいです。
「〇〇の△△」という形に当てはめてみると簡単です。
- おちゃめなカメさん
- 地獄の山登り
- 優勝できた合唱コンクール
- 初めて木工に取り組んだ夏休み
- 図書館の知らなかった活用法
- 3日で宿題を終わらせた計画
7.見直しと修正(校正・推敲)
文章の順番や内容におかしなところがないかをチェックします。
これは、お家の方に手伝ってもらわなくてはなりませんね。
説明が足りない部分は、前後の事実を付け加えて肉付けします。
会話を入れると、臨場感と変化をつけられます。
固有名詞や具体的な数字を入れると、文章の正確性が高まります。
誤字脱字は、徹底的にチェックしましょう。
余分な表現は、思い切ってバッサリ切り捨ててみるのもよい方法です。
8.清書
新しい原稿用紙に、ていねいに清書してできあがり。
早ければ1日でできてしまうし、2~3日に分けて書いてもいいですね。
表現の工夫
表現を工夫するには、簡単なコツがあります。
詳しく具体的に書く例文
気持ちや感情を表す時は「どんな様子だった」のかを、できるだけ詳しく書くようにしましょう。
- 「うれしかったです」⇒うれしくてとびあがりそうになりました
- 「たのしかったです」⇒時間を忘れて夢中になっていました
- 「悲しかったです」⇒涙がとまらなくて、言葉が出てきませんでした
- 「ものすごく腹が立った」⇒顔が真っ赤になって、今にも殴ってしまいそうだった
オノマトペの活用
onomatope:フランス語で擬声語(擬音語と擬態語の総称)のことをいいます。
英語のonomatopoeiaは、擬音表現のことをいい、擬態語という意味は含んでいません。
ものが発する「音」を真似て描写する言葉を擬音語といいます。
- ドカーン
- サラサラ
- わんわん
- ゲラゲラ
- パタパタ
- ピチピチ
- バチン
- ガチャ
本来は音のない「状態」や「心情」などを「音」で表現する言葉を擬態語といいます。
- イライラ
- ピクピク
- てくてく
- ほかほか
- くるくる
- パラパラ
- のろのろ
- ぬるぬる
このような表現を使うと、その場面や情景がよりリアルに感じられます。
うまく使いこなして、臨場感を盛り上げましょう。
ちなみに、肉を焼く時の「ジュージュー」という擬音語を英語でsizzle(シズル)ということから、食べ物が特においしそうな様子を表す言葉を「シズル感」といいます。
人の五感を刺激して、食べ物の活きのよさやみずみずしさを強調し、食欲や購買意欲をそそります。
- 嗅覚:甘い、爽やか、ツンとした、酸っぱい、フルーティ
- 聴覚:コトコト、ジュージュー、パチパチ、グツグツ
- 触覚:つるつる、すべすべ、サラサラ、キンキン、アツアツ、ヒヤッと
- 食感:シャキシャキ、ぷりぷり、サクサク、カリカリ、パリパリ、もっちもち、ほくほく、とろ~り、トロトロ
- 視覚:みずみずしい、湯気が立つ、ずっしり、シャキッと、ピンピン、ぴちぴち
- 味覚:香ばしい、風味豊か、味わい深い、まろやか、ピリ辛、後味を引く、やみつき、スパイシー
- 情報:季節限定、揚げたて、採れたて、産地直送、厳選食材、天然の、こだわりの、自家製、無農薬
このような「イメージ」を想起させる短い表現を取り入れてみましょう。
LINEの活用
いきなり「文章」を書くのが難しい時には、親子でLINEのやり取りやメールなどを使って、質問してみるのも一つの方法です。
そこに書かれた言葉や文章を参考にして、楽しく作文を書くことができます。
まとめ
初めての作文作りや低学年の段階では、保護者の協力が必要です。
題材を集める時には、適切な質問をしてメモを書いてもらいましょう。
テーマを決める時にも、アドバイスが必要です。
構成では、時系列をチェックしてあげましょう。
下書きができたら、一緒に音読して文章を直していきます。
誤字脱字など、しっかり見てあげてください。
また、 自分でコツコツ勉強できる市販のドリルもたくさんあります。
宿題をきっかけにして、自己学習をすすめるのもよいですね。
「作文」は、義務教育だけでなく、高校、大学、社会人になっても必要な技術です。
「書く」「伝える」という2つの目的があって、一生役に立つものなので、苦手意識を作らないように今のうちに「得意」な分野にしてあげましょう。
りょうこのつぶやきでした。
では、ごきげんよう。
アイキャッチ画像出典:「七田式教育」は能力開発 | 七田式教育公式サイト