新聞の見出しは、読者を惹きつける重要な役割を果たしています。
単なる記事の始まりの目印ではなく、単なる表札でもないのです。
記事の内容が一目でわかる魅力的なものでなければなりません。
そんな新聞の見出しの基本的なルールと自由な表現について説明します。
▶小学生新聞の作り方 ―もくじ― - コミュニケーションBLOG
▶ブログの書き方もくじ はてなブログ初心者の悩み解決 - コミュニケーションBLOG
やめよう、3つの陳腐なNG見出し
- 「~について」
- 「~の報告」
- 「~終わる」
これは、簡潔ではあるけれど、「無難で面白くない見出しワースト3」。
イベントや会議などの「名前」(名称)だけを見出しにしても、肝心の中身がまったく伝わりません。
記事の内容を考えて工夫する努力をしないテキトーな駄作です。記事を読もうとする興味がわいてこないのです。
私も、この記事のタイトルを、最初は「新聞の見出しの書き方」的なものにしていました(笑)
- Before:読者を惹きつける新聞の見出しの効果的な書き方
- After:新聞の見出し作り 楽しい着眼点【これであなたも見出しのプロ】
あなたは、どちらの見出しにワクワクしますか?
新聞の見出しの基本形から選ぶ
新聞の見出しは、 1本だけでは限界があります。(見出しは1本2本と数えます)
記事の内容を興味深く伝えるために、見出しを5本とか6本にしてもいいのです。
複数の見出しでメリハリをつけることが大切。見出しにはたくさんのバリエーションがあります。
【見出しのタイプ分類】
どんな見出しにしたいのか、この中からピンとくるタイプを選びましょう。
「主観見出し」:見出しを考えた人の個人的な印象を前面に出している見出し
- 「TVでも大ウケなのに売れないのはなぜ」
- 「わが子の姿に思わずジーン」
「客観見出し」:第三者の目で事実を客観的に伝える見出し
記事の内容を、具体的な「事実」で表現します。
- 「2005年出生率過去最低の1.26に」
- 「2016年の交通事故死者数4117人 15年ぶりに増加」
「訴え見出し」:団体や組織などが読者に対して理解を求める主張の見出し
これは、一方的な押し付けにならないよう注意が必要です。
- 「〇〇海岸クリーン大作戦」
- 「子どもを守る声掛け運動」
「テーマ見出し」:新聞の1面全体を1つのテーマで作る場合に掲げるスローガンのようなもの。具体的に「何がどうした」とは書かずにやや抽象的ですが、個性的な表現を楽しめる見出しです。(柱見出し)
- 「今すぐできるエコ活動」
- 「あったらいいな、こんな森」
「内容表示型見出し」:記事の内容の概略を表示する見出し。情報を素早く正確に伝える場合にのみ使う。(お知らせ)
- 「修学旅行の日程について」
- 「運動会が雨で順延した場合の対応について」
「事実提示型見出し」:記事の主眼となる事実やデータを明示する見出し。「客観見出し」と同じです。
「問題提起型見出し」:無関心な読者に対して訴えかけて関心を持たせる効果が高い見出し
- 「あなたはどうする?分ければ資源、混ぜればゴミ」
- 「今からできる 地球にやさしいエコ知恵袋」
「抜き書き型見出し」:記事本文の一部をそっくり書き出した見出し。
「流行語型見出し」:今流行っている言葉を使う方法。多用するのはおすすめしない。
- 「そうだ!うんこドリルをやろう」
- 「レゴランドで学ぶ新聞のレイアウト」
「対比型見出し」:反対の意味の言葉を対比させる表現。
【見出しの役割と適切な字数】
- 「主見出し」(本見出し・大見出し)8字(7~9字):記事の最も重要な内容・要素をズバッと言い切る
- 「柱見出し」10字:「〇〇について」のような全体の概要・テーマの表題
- 「肩見出し」8~10字:型にかけるように「主見出し」の右側に付けて記事の内容の特色を表現する
- 「袖見出し」10字(8~10字):「主見出し」の次にくる見出しで副次的(二次的)な要素を表現する(追加・補足説明)
- 「中見出し」:記事の本文中に入れる見出しで2段通しをいうことが多く小見出しと同じ役割(*袖見出しのことを中見出しと説明している場合もある⇒国語のわからない問題です。 - 新聞の記事の中には、見出しと本文との間に記事の... - Yahoo!知恵袋)
- 「小見出し」:記事の本文中に、本文よりも少し大きな太い字で書く見出し。特に長い記事の場合には欠かせない見出しで、段落の区切りに内容を要約したもの。基本的には1段のみ。
【見出しを強調する方法】
「主見出し」は、最低限これ1本でも記事は成り立ちますが、「柱見出し」1本だけでは内容を十分に伝えきれません。
基本形は、「主見出し+袖見出し」の2本ですが、一般の新聞では「柱見出し、+肩見出し+主見出し+袖見出し」の4本組で変化をつけて強調するテクニックが使われています。
ただし、これは1つの紙面で1ヵ所にとどめましょう。
言葉(文章)の「内容」と「表現」で強調する方法と、文字の「字体」「大きさ」「レタリング」「カット見出し」「地紋」「イラスト」「飾り」などで強調するやり方があります。
小学生新聞の場合は、「手書き文字」と「色」でカラフルに見やすく楽しく工夫することができます。
「カット見出し」は背景に「地紋」があるものをいい、大事件の場合などには白い文字に黒い背景の「白抜きベタ」が使われます。
【2本見出しの場合は両方同じ品詞止めにしない】
- ✖「三月に工事開始 十月には校舎落成」
- 〇「三月に工事開始 校舎落成は十月に」
【漢字オンリーの袖見出しにしない】
「主見出し」を補足する「袖見出し」が漢字だらけでは、堅苦しくて読みにくいものになってしまいます。
これは「戒名見出し」といって避けるべき表現とされています。
「袖見出し」には、必ず1字以上の「かな」を使いましょう。
<参考サイト>
日本の新聞記事の見出しの特徴 | Japanse studies
見出しの省略技法
日本語の新聞の見出しには、助詞・動詞・形容詞などを「省略」するという便利な技法があります。
日本語は「主語と述語でできた文章」であり、「見出し」を簡潔に省略できます。
省略は、字数を減らして見出しを読みやすくすることですが、意味が通じなければいけません。
その特徴がわかれば、読みやすくわかりやすい見出しが簡単に作れるようになります。
- 主語を指す助詞「が」の省略:「タイタニック号の生存者(が)想い出の品(を)競売へ」
- 直接目的語を示す助詞「を」の省略:上記参照
- 動詞の「する」(した)の省略:「200万円を奪って逃走(した)」
- 主語の後の動詞や形容詞の省略:「入院が長引く可能性(がある)」
- 目的語の後の動詞の省略:「水難事故で救助された少年が感謝の手紙(を出した)」
- 「になる」「にする」の省略:「2016年度出生率(が)1.26に(なった)」
- 助詞「を」の後の動詞の省略:「地域ぐるみでパトロール 下校時の児童の安全確保を(行う)」
- 修飾語の構造が変化する:「生活を圧迫する円高⇒円高が生活を圧迫する 」
新聞の見出しの余白
新聞の見出しを強調してわかりやすさを増すには、文字の周囲の「余白」にも気を配ることが重要です。
「 余白」の設定で、紙面全体のレイアウトがすっきりと美しくなるだけでなく、「見出し」が強調されて読みやすくなります。。
- ハリの強い見出しを避ける:「見出し」スペースに対して、文字数が多過ぎたり文字が大きすぎるため天地(上下)に空白が少なくてギッシリ詰まっており圧迫感がある
- ハリの弱い見出しを避ける:字数が少なかったり文字が小さすぎて「見出し」の天地(上下)に空白があり過ぎる
- 左右のアキ(余白・空白)を適切にする
- 行間のアキを適切にする
カコミなど箱組の記事では、「見出し」のスペース配分を正確にしないと、あとから記事のスペースが足りなくなることがあるので注意が必要です。
「主見出し」ではなく、カコミの見出しの場合は、逆にハリの弱い方がバランス的に向いています。
「横見出し」の場合の基準は、横見出しの中のいちばん大きな文字の半分の幅を左右それぞれにあけるようにします。
まとめ
小学生新聞の作り方のコツが、だんだんつかめてきたように感じます。
ブログのコンテンツ(記事)作りと似ている部分がたくさんありました。
ブログのタイトル(キャッチフレーズ)は、新聞の「主見出し」にあたります。
いかにわかりやすく一瞬で読者の関心をとらえるかという重要な役割を果たしているところは同じです。
文中の中見出しや小見出しの役割も、新聞とブログは似ていますね。
新聞社の新聞製作は、記事を書くライターと見出しを考える編集者とが分業されています。
個人製作の新聞の場合は、これらをすべて自分一人でやることになります。
「見出し」を考えるということは、
- 記事の内容の重要な部分を理解している
- 読者に伝えたいことが明確になっている
この2点を、しっかりさせる作業でもあります。
そして、レタリングの楽しみもありますね。
誰かに何かを伝える。
それは、自分がまず先に「感動」した「気づき」があるからこそできること。
それを情報発信する。
それが、新聞です。
この記事、とっても面白くてわかりやすいです。「見出し」を考えるトレーニングにピッタリ。
小学生新聞づくりの、詳しい全体の流れはこちらです↓
りょうこのつぶやきでした。
では、ごきげんよう。
アイキャッチ画像は自作のオリジナルです。